がんの発病には、遺伝的な要因よりも環境的な要因が大きくかかわっています。つまり、生活習慣を改善することが予防につながっていきます。
がん発生には環境要因が強くはたらく 一般に病気は、遺伝的要因と環境的要因が複雑に絡み合っておこりますが、がんの場合は、環境的要因が強くはたらくと考えられています。
環境的要因には、遺伝子を傷つける能力をもつという共通の性質があり、つぎのものがあります。
電離放射線 放射線の高いエネルギーが遺伝子を傷つけます。白血病を引き起こすことが知られています。
紫外線 遺伝子に特徴的な傷をつけ、とくに皮膚がんの原因になります。
化学物質 タバコや食品添加物、大気汚染物質などの人工的なものだけでなく、ピーナッツに生えるカビ、消化管内の食べ物の残りかすなど、自然界にも発がん物質が存在します。これらは、体内で活性化されたのち、DNAと結合して遺伝子に変異をおこさせます。
ウイルス ウイルス感染が関与して、肝がんや子宮頸がん、成人T細胞白血病、上咽頭がんなどがおこると考えられています。ウイルスは染色体に入り込んで遺伝子に変異をおこさせます。
がんにかかりやすい体質よりも生活が大きく影響 よくがんは遺伝するといわれます。しかしがんが遺伝子に関係するといっても、基本的には、親ががんだから子供もがんになる、といった形で遺伝するわけではありません。
人の細胞は、精子や卵子という生殖細胞と、そのほかのほとんどをしめる体細胞とにわけられます。
この生殖細胞の遺伝子は、親から子への遺伝に直接関与するので、細胞におこっている遺伝子の変異は子供に伝わっていきます。しかし、体細胞の遺伝子の変異は、つぎの世代に伝わっていきません。
親の生殖細胞の遺伝子変異は、子供の生殖細胞と体細胞の両方に引き継がれます。ある特定の遺伝子変異では、その体細胞をがん化させることがわかっています。
遺伝するがんとしては、網膜芽細胞腫、ウイルス腫瘍、また、がんのできやすさが遺伝する遺伝病としては、家族性大腸ポリープや色素性乾皮症などがしられています。いずれも頻度の低い病気です。
さらにがんになりやすい体質が遺伝するともいわれますが、これについては、少しずつ明らかにされています。
遺伝子を構成している塩基配列が人によって異なることを遺伝子多型と呼びますが、この遺伝子多型は、親から子へと伝わり、遺伝的な体質の差となります。
たとえば、人の身体には、もともと、タバコの煙のなかの発がん物質を処理する能力が備わっていますが、この能力は遺伝します。
発がん物質をうまく処理できる人とそうではない人がいますが、処理能力の高くない人が喫煙をすれば、肺がんになる可能性はより大きくなります。
しかし、遺伝的な体質が存在するにしても、実際の発がんには、人を取り巻く環境要因のほうがずっと大きな影響を及ぼしていると考えられます。がんになりやすい生活を改善することが、がん予防にはもっとも重要だといえます。
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